【教育環境】大学をめぐる市場状況②
前回に引き続きまとめていこうと思います。
大学目線だと「市場状況」と捉えられないものもありますが、広い立場でみて同じカテゴリーにしました。
さて、今回も前回も文部科学省中央教育審議会の2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)をもとに、その後議論されていることを個人的にまとめたものです。
◎学修成果の可視化への対応
大学に期待する教育改革として、伝統的な基礎リテラシー教育、リベラルアーツ、文理融合など様々です。
その流れで今後の就活では学歴ではなく学修歴が問われるようになるという話も出てきています。
①学修成果の可視化とは未整理の中でよく言われやすい
タイトル通りなのですが、学修成果をどのように定義し、どのように・いつ・なぜ・誰が・なんのために測るのか未整理のまま話が進行している風潮があります。
②適切に実施できているか自己点検
そこでアセスメントポリシーという、学生の学習成果の評価について、各大学がその目的・達成すべき質的水準・評価の実施方法などについて定めた学内の方針で必要になります。
・DP(ディプロマポリシー):学生が何を身につけて卒業するのか
・CP(カリキュラムポリシー):学生のためにどのような教育をするのか
・AP(アドミッションポリシー):どのような学生に来て欲しいのか
以上の3つのポリシーに照らし合わせ、適切に実施できているか確認することが必要になります。
③学修成果の把握状況
それでは、何をもって学修成果を把握するのでしょうか。
過程を通じた学修成果の把握を行っている大学は全体の47.5%ほど。
把握の方法としては「外部の標準化されたテストによる学修成果の調査・測定」でした。
PROGなどのアセスメントテストを使っているのでしょう。
次点はアンケートなのですが、アンケートはあくまで間接的手段になるため有効かどうか疑問視する人もいます。
◎大学が考える学修成果の可視化
さて、大学の視点で見ていきます。
①学修成果について
大きな成果としては学修成果の測定(可視化)に取り組む大学が多数派になったということでしょう。
しかしながら、学修成果の可視化は「情報発信」のためが主であり、適切な大学運営のためのPDCAサイクルに十分活かせているかどうかは疑問です。
②学修成果を公表することへの期待
大学が期待することはアンケートで以下のようになりました。
・社会への説明責任が果たせる(94%)
・大学のイメージアップ(64.1%)
・受験者の増加(55.9%)
・学内の教学マネジメントへの気運の醸成(54.8%)
・学生の学修意欲の向上(47.7%)
大学としての責任として、インフォームド・コンセントをしっかりと果たすことでイメージアップを狙うということでしょうか。
また、受験者の増加に期待をしている私立大学は50.2%と国公立大に比べて低いです。
③疑問が出てくる
さて、ここまでご覧になっていかがですか?
私は初めてこのデータや資料を見た時に「産業界は学修成果をそこまで求めているのだろうか?」と思いました。
言い換えれば、大学全体のことに期待をしているのだろうかとも言えます。
次回企業からの目線、まとめを持ってこのカテゴリーを一旦締めようと思います。