【教育環境】現在の教育を取り巻く変化(大学運営編)①
筆記試験(論文)などで表題のテーマに関する出題を経験した方もいるのでないでしょうか。
大学職員への転職準備を進めるうえで「業界研究」をどのようにされていますか。
業界地図などを購入してもざっくりとしか書かれておらず、よくわからないということもあるのではないでしょうか。
そこでいくつか代表的な事例・項目をご紹介し、そのうえで各大学のHPをどのように見ていたかご紹介します。
選考準備の参考になれば幸いです。
【大学を取り巻く環境】
◎18才人口の減少
1990年代前半は200万人を超えていましたが、その後少子化が進み現在は118万人程度と言われています。
ピーク時と比較して60%未満になっており、2030年には約100万人、2040年には約80万人にまで減少するといわれています。
◎財政問題
国の財政状況から運営費交付金などを無条件で拡大することはできません。
第三者評価の結果から予算配分に反映させたり、入学定員の厳格化にともなう私学助成金などの減額や不交付などの措置を行ったりするようになりました。
大学においては人口が減少すれば、その分入学定員の削減の議論につながる可能性があります。
しかし、定員を削減すればその分授業料収入や補助金額、教員の数も削減することにつながるため財政悪化につながる可能性があります。
◎社会構造の変化
国の社会構造が大きく変化していることは皆さんもご存じだと思います。
グローバル化を急激に推し進めた情報化社会の進展が中核ですが、「Society5.0」という日本が提唱する未来社会のコンセプトを聞いたことがあるでしょうか。
サイバー空間とフィジカル空間を融合させることで、経済発展や社会問題の解決を推進することができると考えられています。そのほか「SDGs」についても自治体と取り組む大学もあります(詳しくは「Society5.0」「SDGs」で検索ください)。
教育業界で言えば「ICT教育」はかなり浸透してきました。モバイル端末を使った授業動画の配信、英語のスピーキングトレーニングをweb上でネイティブと行うなど、新しいサービスが日々生まれています。
◎地方創成
大学に求められていること、大学が責任を負うこととして挙げられるのが「地方創成」です。
デジタル社会の発展で労働型の働き方から知識集約型への転換が進んでいます。
例えばIT企業では高いテナント料を払う都心への展開ではなく、事務所を田舎に設立し、テレワークなどを使いつつビジネスを展開する企業もあります。加えて、諸外国以上に東京一極集中の状態にある現状を是正するため、地方への人の流れの創出もあげられます。
そのためには自治体や企業、大学が連携し、地方を基盤とした社会実現の達成が期待されています。
そのタクトを振る役割を、知の拠点である大学に求められています。
多様な人材の積極活用が提唱されています。
「ダイバーシティ」は社会的マイノリティの就業機会拡大を意図して使われることも多かったですが、今では性別・人種・年齢…などにとらわれず広く人材を活用することで生産性を高めようとしています。
一方教育の現場でも、特定の職業に就くための技芸にこだわらず自由な学問を追求する「リベラルアーツ」を念頭にした工夫が凝らされています。
長くなるのでいったんページを区切ります。